ヘール加工とは? ヘールバイトとは? 加工方法から使用工具まで解説!!
ヘール加工とは、マシニングセンターでバイトを進行方向に対して平行に動かして行う加工方法です。
製品の突端の平面加工にも使用されますが、最も多いのは溝加工です。
マシニングセンターで加工するのに、なぜエンドミルのように回転させて溝掘りをせず、バイトのような静止工具でかんなのように削っていくのか。
今回は、その理由と最適な工具について、お伝えします。
なぜヘール加工が必要か?
ヘール加工は、主に高気密のシール面の加工に使われています。通常高気密のシール面には特殊なOリングを入れて、高真空および超高真空状態を保ちます。
しかしながら、エンドミルなどの回転工具による切削加工では、円弧状の切削痕(ツールマーク)が残ってしまうため、切削痕(ツールマーク)による僅かな隙間から気体が侵入あるいは漏れ出てしまい、高真空状態が保てなくなります。
それを防ぐために、円弧状のツールマークが消えるまで、手作業での磨き加工を必要としていました。
この磨き工程の時間を短縮、あるいは磨きレスにするために、シール溝加工を回転工具ではなく、静止工具でカンナのように切削し、加工時に回転工具特有のツールマークを残さない、これがヘール加工の目的です。
ヘール加工用の工具の特長
ヘール加工を行う工具は、溝入れバイトのような形状をした丸バイトが一般的です。
刃先の粗さがワークにそのまま出てしまうため、鏡面加工で刃付を行います。たとえ小さくてもチッピングがあると、段やスジや斑模様が発生します。
<材質>
材質 | 主な被削材 |
ハイス+コーティング | 鉄 |
K10(超硬) | アルミ |
超微粒子 | アルミ |
超硬+コーティング | アルミ |
CBN | 鉄 |
ダイヤモンド | アルミ |
<主な特長>
- 刃先は鏡面加工
- チッピングは最小限に取り除く
- シャンクは丸シャンク
- マシニングセンター(複合機)で加工
また、ヘール加工はシール面の加工のみならず、複雑な溝を総型形状にして、同じように進行方向に対して真っ直ぐ押し当てて加工する場合もあります。
加工の原理で言いますとスロッターやキー溝バイトと同じような工法です。最近では、複合機で行う場合も多くなってきています。
ヘール加工用工具に関する製品事例
続いて、実際に当社が製作したヘール加工用工具の製品事例をご紹介いたします。
ⅰ.超硬ソリッドヘールバイト | ・高気密のシール面加工に使われる溝入れ工具 ・マシニングセンターで、静止した状態で使用される(ヘール加工)
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ⅱ.アリ溝(Oリング溝)ヘールバイト
| ・アリ溝を加工するヘールバイト ・右と左のバイトを1SET用意することにより、Oリング溝を・・・・・
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ⅲ.超硬ロウ付内径ヘールバイト | ・内径シール面加工に使われる溝入れロウ付工具 ・マシニングセンターで、静止した状態で使用される(ヘール加工) ・内径の溝のため、L字型の・・・・・・
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Ⅳ.ヘール加工バイト
| ・真空バルブのシール面を加工するのに用いられている刃物 ・主にマシニングセンターで、静止した状態で使用される(ヘール加工) ・円弧状の切削痕(切削目)によって僅かな隙間から気体が浸入し、・・・・・・・
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Ⅴ.特殊ヘール溝加工用ハイスバイト | ・高気密面の加工に使用される特殊バイト。 ツールマークを加工面に残さずに加工できる。 ・このバイトは、規則正しく凹凸を施している。また、刃先に0.1のRを施すことで負荷が分散し・・・・
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今回は、ヘールバイトについてご紹介しました。
ヘールバイトの特徴を正しくおさえていただき、加工条件にあった適切な工具選定の参考にしていただけたらと思います。
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