技術コラム

ロウ付とは?押さえておきたいロウ付の基礎知識

    ロウ付

     

    ロウを溶かして金属を繋げる加工方法をロウ付といいます。素材を傷つけず、高い強度で接合可能といった点で活用されています。

     

    交換式の工具が多く使用されるようになってきており、高度な技術を要するロウ付は対応する会社も減ってきているのが事実です。

    しかし、「ロウ付でなければならない工具」もまだまだあります!なかなか対応してもらえる会社がなく、ロウ付加工を諦めていたり、そもそもどういった時にロウ付が良いのかイマイチわからない、、といった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

     

    今回はそんな方向けに、「ロウ付」に関する基礎知識と特徴についてお伝えいたします。

    ロウ付とは?

    結合させたい金属同士の間にろうと呼ばれる合金を溶かして結合する金属加工の一種です。

     

    溶接の分類 ロウ付

    溶接は

    • 融接・・・・・母材を加熱して母材同士を溶かして接合する。あるいは、溶接部に溶加材と母材を溶かして接合する。
    • 圧接・・・・・金属の表面を密着させ、熱や摩擦を加えながら、圧力で原子同士を金属融合させて接合する。
    • ろう接・・・融点の低い合金「ろう(蝋)」を使って接合。

     

    の大きく3つに分類されます。

     

    このうち「ろう接」に分類される加工方法が、「ロウ付」と「はんだ付け」です。ロウ付とはんだ付けの違いは、結合に用いる「ロウ材」です。ロウ付の融点は450℃以上と、はんだ付けよりも融点が高いろう材を使用します。そのため、はんだ付けよりも高い強度で接合することが可能というわけです。

     

           ろう付・・融点が450℃以上の「硬ろう」を使用

           はんだ付・融点が450℃未満の「軟ろう」を使用

     

    また、はんだ付けでははんだごてを使用するのに対し、ロウ付ではガスバーナーなどを用います。ガスバーナーなどでロウ材を溶かし、結合したい金属と金属の間に流しいれます。この溶かしたロウが結合素材に流れやすいかを「ぬれ」と表現します。ロウ材として何を用いるかにより、このぬれ性も異なります。

    加工方法にあった工具を選ぶように、結合したい素材にあわせてロウ材も選択する必要があるわけです。

    ロウ付の特徴

    ロウ付は高度な技術を要する為、対応可能な企業も減少傾向にあります。しかし、接合素材によってはロウ付加工が適しているケースがあることも事実です。

     

    ロウ付加工の主な特徴は下記の3点です。

     

    ①異種金属同士の接合ができる
    母材を溶かさず、ロウ材を流しいれることで接合する加工のため、融接や圧接と比較し、複雑な形状の部品や接合する箇所が多い金属の接合も可能です。

     

    ②接合強度が強い
    融点が高いため、他の加工方法と比較しても接合強度が強い加工方法です。そのため、工具を長く使用することが可能になります。

     

    ③再度のロウ付や取り外しが可能
    接合する金属とロウ材の融点は異なります。そのため、万が一接合しなおしたい場合や、取り外したい場合に対応することが可能です。

    ロウ付の加工方法とポイント

    ロウ付は高度な技術を要するとお伝えいたしましたが、ロウ付の際に扱う材料によって様々な資格が必要になります。

     

    加工の主な工程は下記の通りです。

     

    ①母材を固定する
    溶接対象の母材を固定します。固定が弱いと接合する場所がずれてしまったりと仕上がりに影響があるため、ずれないように固定することがポイントです。

     

    ②母材の表面を整える
    結合箇所に不具合があると、いくら結合強度が強い加工方法とはいえうまく接合されないといった事態に繋がります。仕上がりをきれいに保つために、あらかじめ母材の表面を紙やすりなどで整えておくことが必要です。

     

    ③フラックス添加
    母材の表面には、ろう材の「ぬれ」を阻害する酸化被膜があるため取り除く必要があります。取り除かず加工することも可能ですがその場合、「ぬれ」がうまくいきません。この、酸化被膜を取り除く方法の1つが「フラックス(化学薬品)」です。また、フラックスはロウを流し込んだ後に取り除く必要があります。

     

    ④ロウ棒を差し込む
    ろう材に熱を加え溶かし、接合したい箇所にロウを流し込みます。

    ロウ付に関する製品事例

    続いて、実際に当社が製作したロウ付けの製品事例をご紹介いたします。

     

    ⅰ.超硬ロウ付ヌスミ加工用アンギュラバイト

    超硬ロウ付ヌスミ加工用アンギュラバイト

    部分的な加工であるヌスミ用に製造したものです。超硬のボディに超硬チップをロウ付していることで剛性をもたせています。

    >>詳しくはコチラ

    ⅱ.超硬ロウ付高精度RTスロットカッター

    超硬ロウ付高精度RTスロットカッター 

    プロファイル研削盤によるR加工の実施により、高精度のR形状と良好な切削を可能にしています。
    傷んできたら再研磨も可能です。

     

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    ⅲ.ロウ付タングステン電極

    ロウ付タングステン電極

    上部分がタングステン、土台部分が銅で製造されたロウ付タングステン電極です。

    溶接で使用される電極で、モーター部品を加工するための部品として使用されます。

     

    >>詳しくはコチラ

     

    商品・サービスページ ロウ付サービス 

    弊社では、加工難度の高いサーメット材質でも、60年の技術ノウハウで、総型スローアウェイチップ、総型ロ

    ウ付バイト、サーキュラバイト、リッセシングバイト等、数多く手掛けています。

    ロウ付

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    当社には、工具や電極、センサー部品等にロウ付を行いたい方から、このようなお困りごとやお悩みをいただきます。

     

    • 接合強度が弱く、チップが剥がれてしまう…
    • いままでお願いしていたロウ付業者が廃業してしまった…
    • ロウ付できる業者を探しているけど、高精度ロウ付ができる会社がわからない…

     

    >>詳しくはコチラ

    特殊工具の開発・製造のことなら、特殊超硬バイト 開発ラボまで!

    今回は、ロウ付についてご紹介しました。
    高度な技術を要するロウ付けですが、接合強度が強く長く工具を使えたり、複雑な形状の接合もおこなうことが可能です。溶接の種類を理解し、ロウ付でできることを把握したうえで、加工方法を選択して頂ければと思います。

     

    特殊超硬バイト 開発ラボでは、高品質工具、複雑形状、長寿命な「きれもの」づくり、そして「まごころ」をこめて1つ1つ丁寧に特殊バイトを製造・開発してきました。創業60年の歴史と経験から得られる実績と高い技術力を有しています。

     

    ロウ付バイト・総型バイト、成型バイト・溝入れ丸バイト、スロッターバイト、ヘール加工バイト、スローアウェイチップ、成型チップ・総型チップ、特殊スローアウェイチップ、ハイススローアウェイチップ、カッター刃・切断刃、粉砕刃・固定刃・回転刃、パンチ・ダイス・スリッター、ロール・センタレスブレード、コイリングピン・ワイヤー線ガイド、接点・電極・耐磨耗部品 など幅広く対応、記載がないご依頼も柔軟に対応いたします。

     

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