技術コラム

5軸CNC工具研削加工とは?概要から種類、当社の対応可能範囲までご説明します!

    ドリル・エンドミルやバイトなどの切削工具を研ぐことができる、CNC万能工具研削盤を御存じでしょうか?
    今回は、汎用の工具研削盤とCNC工具研削盤の違い、また、当社のCNC工具研削盤の加工事例にスポットを当て、ご紹介します。

     

    〈目次〉

    C-40 万能工具研削盤

    切削工具の刃先またはシャンクと呼ばれる柄の部分などを削する

    工作機械を工具研削盤と呼びます

     

    切削工具の刃先やシャンクには、様々な形状がありますので、

    研削する工具に合わせた様々な種類の研削盤が存在します。

     

    例えば、

    バイトの刃付け作業などには両頭グラインダーバイト研削盤などが使用されます。

    また、ドリルの先端部分を研削することに特化したドリル研削盤や、

    歯車の歯切り加工を行うホブと呼ばれる刃物のすくい面を加工するホブ研削盤

    表面・内面の複雑形状を仕上げるブローチ盤に使用する総型工具を加工するブローチ研削盤

    その他にも、エンドミルを加工するエンドミル研削盤や、

    カッターを加工するカッター研削盤などがあります。

     

    他にもメタルソーやダイヤモンド工具などを研削する研削盤もあり、

    それぞれ○○(工具名)研削盤と呼ばれることで区別され、それぞれにおいて特化した研削盤となります。

    万能工具研削盤とは

    万能工具研削盤

     

     

    工具研削盤のなかでも、

    我々、【特殊超硬バイト 開発ラボ】では

    万能工具研削盤と呼ばれる研削盤を多数保有しています。

     

     

     

     

     

     

    この万能工具研削盤は、1つの工具に特化するのではなく、

    1台の研削盤で、多くの種類の工具が研削できる機械です。

    割り出し装置や円筒装置・万能バイスなど各種アタッチメントを使用することで、様々な工具に合わせた研削加工が行えます。

     

    一般的に、汎用的な使い方をする万能工具研削盤は、手動で研削を行いますので、

    2軸もしくは3軸を手動で同時操作する必要があるために熟練度・技術を要します。

     

    一方で、複雑なプログラムを組む必要がなく、手動で研削を行うことができるため、

    万能工具研削盤で手早く研削できるといった汎用性・柔軟性に優れています。

     

    また通常、工具研削盤は乾式(研削液を使用しない)で行うことが多く、

    研削時に砥石と被削材(工具)の接点が冷却できず高温になり、

    研削されている被削材(工具)の硬度や組織に影響してしまうことがあります。

    それにより、焼け・変形・歪み・カケ(チッピング)・仕上げ寸法に大きく影響します。

     

    加工面では、焼成砥石やダイヤモンドホイールに悪影響(異常摩耗・目詰まり・目つぶれ)を与え、

    潤滑性に劣るので、研削抵抗が大きく、バリが出やすいといった作業面での影響、

    加工中に粉塵が大量に出るため、環境面での対策も必要になります。

     

    しかし、【特殊超硬バイト 開発ラボ】の万能工具研削盤では、

    工具研削盤を湿式仕様(研削液を使用する)へと改造し、湿式での研削が可能ですので、

     

    冷却効果

    潤滑性を高め研削抵抗の抑制

    切り屑や砥石からの脱落物の除去

    防錆

     

    …などの効果が得られ、高品質で安定した機械工具・機械刃物の製作が可能になっています。

    CNC工具研削盤とは

    NC工具研削盤

     

    近年、汎用での工具研削盤から少しずつCNC工具研削盤へと主流が移りつつあります。

    このCNC工具研削盤は、ドリルやエンドミル、タップ・リーマなどの切削工具・回転工具

    新規製作・再研磨に使用されることが一般的です。

     

    ・エンドミル外周の逃げ面

    ・すくい面のスパイラル形状

    ・ボールエンドミルのRすくい面、逃げ面のスパイラル形状

     

    複数の軸を同時に、自由に旋回・または連動して動かすことができるため、

    スパイラル形状のような多軸連動の動きが可能で、

    様々な工具の様々な加工箇所を、たった1回のチャッキングで研削することができます。

    そのため、同位置へのワークの取り付けが難しいことによる精度が向上します。

    また、ATC(自動工具交換)付の機械も多く、粗加工から仕上げ加工までの1工程 1工程の度に、

    作業者が砥石やワークを着脱する必要がなく、

    手離れ時間が長くなるので、作業者は他の作業が可能になり、効率化にも貢献することができます。

     

    またNCであることで、新規製品受注時には、プログラム作成などの必要はありますが、

    作成しておくことでリピート時には対応しやすく、熟練の経験と知識が不足している作業員でも、

    複雑形状・高精度な工具の自動研削が可能になり、

    職人の後継者がいない育成に時間がかかる、誰でも高精度な加工を簡単にできるようにしたい、といった

    悩みをNC化で解消することが期待できます。

     

    多種類の複雑な形状の工具を安定して研削するといった点では、

    汎用と比較してもCNC工具研削盤が優れていると言えます。

    【特殊超硬バイト 開発ラボ】仕様のCNC工具研削盤

    NC工具研削盤

    我々、【特殊超硬バイト 開発ラボ】でも、

    この数値制御化したCNC工具研削盤を複数台 導入し、

    熟練者のノウハウを実現する研削盤となっています。

    また、その全台数に当社独自のプログラムを搭載し、

    回転工具以外に特殊超硬バイト・ハイスバイト・スローアウェイチップ・丸バイト・板状刃物新規製作・再研磨を可能とさせました。

     

     

     

     

    NC工具研削盤

    〈角シャンク〉

    通常、NC機では難しい角材シャンクを精密バイスで保持し、高精度での刃付け加工が可能です。

    また、専用治具の製作も社内で行いますので、

    様々な形状が加工可能になります。

     

     

    NC工具研削盤

    軸を旋回させ、平行測定をすることで高精度の

    加工を実現させています。

    この測定により、高精度の繰り返し加工が可能になっており、作業者による差異が少なくなり、高品質を安定させます。

     

     

     

     

     

    NC工具研削盤

    〈丸シャンク〉

    複雑な加工工程を3Dで形状確認しながら

    加工することが可能です。

    形状確認はすぐにできるので、試作の製作時間を削減し、

    コスト削減につながります。

     

     

     

    NC工具研削盤

    〈スローアウェイチップ〉

    砥石による被削材(工具)の削り具合も3Dにて事前に確認しながら加工ができます。

    形状をそのままに、2番角、3番角の角度のみを

    変更して加工することもできます。

     

     

     

     

    1チャックにて複数工程を加工できるので

    作業者の手離れがよく、効率生産が可能ですので、

    コストを抑えることができ、短納期にも対応できます。

    新品や再研磨、量産品でもご対応致します。

     

     

     

     

     

    ①可能な加工材質

    当社では、超硬・サーメット・セラミック・CBN・タングステンなどの高硬度材からSKH・SUS・SC・SK・SKS・SKD・SCM・SUJなどの高速度鋼・合金鋼・炭素鋼や、異種金属ロウ付後の同時研削など、

    様々な金属の研削を得意としております。

     

    刃先チッピング

    ②加工技術事例

    研削加工実績としまして、砥石メーカーと共同製作した

    被削材にあった多種多様な砥石を用意しており、

    超硬バイトにおいては、#1000~#2000のダイヤモンドホイールにて刃先の面粗度Ra0.01/Rz0.15以下での実績があり、限りなく0に近いシャープエッジチッピング5μm以下)での加工が可能です。また、加工された刃先を

    1本1本マイクロスコープにて、チッピング検査を実施しております。

     

    また、刃先の成形をするワークによっては、

    プロファイル研削盤で形状加工するよりも2~4倍ほど早く研削加工することが可能なワークもあり、

    精度・品質はもちろんのこと効率・能率を考慮した工程設計にて生産計画に組み込んでいきます。

     

    ③加工実績事例

    スローアウェイチップA.スローアウェイチップ(標準品追加工・再研磨)

     ・溝入れチップ

     ・突っ切りチップ

     ・ねじ切りチップ

     ・面取りチップ

     ・逃げ溝チップ

     ・総型チップ

     

     

     

    B.丸バイト(ハイス・超硬 研磨丸棒追加工)丸バイト

     ・溝入れ丸バイト

     ・スロッター丸バイト

     ・ヘール丸バイト

     ・ねじ切り丸バイト

     ・面取り丸バイト

     ・総型丸バイト

     ・超音波カッター

     

    C.角バイト(新規製作品)角バイト

     ・ロウ付バイト

     ・板形状カッター

     ・スロッターバイト

     ・溝入れバイト

     ・突っ切りバイト

     ・ねじ切りバイト

     ・面取りバイト

     ・総型バイト

     

    D.回転工具(新規製作品)回転工具

    ・特殊溝入れカッター

    ・総型カッター

    ・リセスツール

    ・Rカッター

    ・ピニオンカッター

    ・段付きカッター

     

    投影図

    ④寸法精度

    R形状の精度・形状のズレを

    大型投影機にて20~50倍に拡大された刃先を

    投影図に合わせて確認しています。

    寸法精度±0.01・R±0.02・角度±0°15′

    精度にて加工が可能です。(ローダー加工時)

     

     

     

    IM-8000

     

    また最終検査は最新の検査設備での検査・確認も行っています。

    こちらでは肉眼では検査しづらい箇所なども

    数値で測定が可能です。

    形状公差・姿勢公差・位置公差・振れ公差などの

    幾何公差の測定も素早く行うことができます。

     

     

     

     

    ⑤オートローダーにて長時間の無人化・自動化

    製造業におけるローダーとは、

    ワーク(加工物)を機械から機械へと搬送する装置のことを指します。

     

    作業者に代わり、ワークを工作機械にセットし、加工終了後に工作機械から

    取り外すまで着脱を自動かつ断続的に行うことで、

    作業の効率化・生産性の向上が見込まれ、

    更に作業者がいない夜間や休日においても自動運転が可能になります。
    近年の製造現場において、工程の自動化・省人化に欠かせない設備です。

     

    • 効率化、省人化してコストダウンへ貢献することができます
    • 人的ミスを減らし、安定した高品質を提供できます
    • 効率化することでコストダウン、短納期対応が可能になります

    当社のCNC工具研削の加工事例をご紹介!

    当社の5軸CNC工具研削盤で加工した 工具事例を一部ご紹介します。

    1.シール溝バイト

    シール溝バイト

     

    こちらは、シール溝(Oリング溝)を入れながら、微小面取りをつけて、バリ取りも同時に行うシール溝入れ用バイト

     

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    2.サンプルカッター(片刃)

    サンプルカッター(片刃)

    こちらは、ポリプロピレンの部品をマルチカッティングマシンにて、精密にカッティングする超硬超音波サンプルカッター

     

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    3.外径旋削チップ

    後挽きチップ

    こちらは、外径の仕上げ面精度にこだわった外径旋削チップ。

    刃先チッピングを0.003μm以下に抑えています

     

     

     

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    4.超硬総型溝入れ丸バイト

    総型溝入れ丸バイト

    こちらは、アルミの複雑な溝を一発で仕上げ加工できる超硬総型丸バイト

     

     

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    5.逃げ溝チップ

    逃げ溝チップ

    こちらは、シャフト部の研磨逃げ溝を加工するスローアウェイチップ

     

     

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    6.ロウ付総型R面取りバイト

    総型バイト

    R面取りを行う、総型R面取りバイト

     

     

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    7.ヘール加工バイト

    ヘールバイト

    ■マシニングセンターで使用するヘール溝入れ丸バイト
     ヘール加工とは、バイトを横方向に動かして加工を行う加工方法で、主に真空バルブのシール面を加工するのに用いられています。通常のミーリングなど回転工具による切削加工では、・・・・・

     

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    8.建具刃物

    建具刃物

    建具の溝掘りのライン切りに使う超硬チップです。カッターホルダーに装着して、木材を切削します。

     

     

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    工具研削に関する技術と最新の設備のご紹介

    当社の設備の様子がわかる動画がございますので、ぜひご覧ください。

    ▼動画でわかる!当社のCNC工具研削盤をご紹介▼

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