技術コラム

切断刃とは?概要から形状、材質まで解説!

    切断刃とは、名前の通り「被削材を切断するための刃」のことです。

    切断刃の用途は幅広く、食品用、木工用、金属用など切断する被削材に合わせて様々な種類があります。

     

    今回は、切断刃の概要から形状、材質について解説します。

    切断刃とは

    切断刃

     

    切断刃とは、名前の通り「被削材を切断するための刃」のことです。

    読み方は「せつだんば」と言います。

     

    切断刃は広い意味合いがあり、日々の料理で使用する包丁や紙を切断する際に用いるカッターも含まれます。

     

    当社で扱う切断刃は食品用パッケージや機械部品、半導体基板、銅線の切断等用となります。このような切断刃を「工業用刃物」と呼ぶこともあります。

     

    切断刃の用途は幅広く、食品用、木工用、金属用、医療用など切断する被削材に合わせて様々な種類があります。

     

    切断刃の形状について

    切断刃

     

    切断刃の形状は大きく「丸刃(ロータリーナイフ)」「平刃(シャーナイフ)」の2種類に分類されます。

     

    丸刃(ロータリーナイフ)

    丸刃は鋭利がなく、円形状の刃物のことを指します。

    紙や木材、フィルムなど比較的柔らかい被削材を切断する際に用います。

    丸刃を用いる場合は、被削材を挟み、回転させながら切断していきます。

    また、ハサミ式か押切かなど、切断方法によっていくつか種類に分かれます。

     

    平刃(シャーナイフ)

    平刃は四角形状で平らな刃物のことを指します。

    丸刃と同様、紙や木材など柔らかい被削材はもちろん、鉄やゴムなど様々な材質の切断で用いることができます。

    平刃は、上下の刃で被削材を挟んで切断するものや、長手方向に超音波で振動させながら切断するもの等、様々な種類があります。

     

    切断刃の材質について

    切断刃

     

    切断刃の材質では、主に工具鋼を用いることが多いです。

     

    工具鋼には大きく分類して合金工具鋼、高速度工具鋼、炭素工具鋼があります。

     

     

    ■合金工具鋼

    炭素工具鋼にニッケルやクロム、モリブデンなど合金元素を添加したものです。

    上記の元素を添加することで、耐摩耗性、耐衝撃性などを向上させることができます。

    また、焼入れ性も向上されるため、ひずみの発生を防ぐこともできます。

     

    各種元素の種類、含有量に合わせて、切削工具用鋼、冷間金型用鋼、熱間金型用鋼、耐衝撃工具用鋼に分類されます。

     

    ■高速度工具鋼

    耐摩耗性、靭性が特徴の切削工具用に開発された材質です。切削工具のみならず、金型でも用いられることがあります。別名として「ハイス鋼」と呼ばれることもあります。

    高速度工具鋼は粉末ハイス鋼と溶解ハイス鋼に分類され、特性やコスト面でそれぞれメリットがありますが、主流は粉末ハイス鋼となっております。

     

    ■炭素工具鋼

    一般的にSK材と呼ばれる、あらゆる工具で用いられる材質です。

    合金工具鋼のように元素が添加されておらず、硬さが必要な工具で用いられます。

    焼入れ性や高温下での硬度低下などデメリットもあるため、耐熱性や衝撃下では不向きです。

     

    その他にも、耐摩耗用超硬工具などの超硬合金やステンレス鋼などの材質があります。

     

    各材質によって特性やメリットが異なるため、切断する被削材の材質や使用環境に合わせて選択する必要があります。

     

    切断刃の使用時によくあるお悩み ~改質処理とコーティングについて~

    ここでは切断刃使用時によくあるお悩みについて、改質処理とコーティングの面から解説いたします。

     

    よくあるお悩み①:【改質処理】ソルト焼入れをした場合のソルト詰まりについて

     

    ハイス製カッターでソルトバス焼き入れをしていた場合、ソルトが詰まってしまうことがございます。

    ソルトが詰まった状態を放置してしまうと、工具の錆びにつながります。

     

    ソルト詰まりを防ぐための方法としては、改質処理の変更が挙げられます。

    今回の場合は、ソルトバス焼き入れを真空熱処理に変更することで、ソルトの詰まりのない処理を行うことができます。

     

    >>上記に関するよくある質問と回答はこちら【切断刃:Q6】

     

    >>当社の改質処理の対応範囲はこちら

     

     

     

     

    よくあるお悩み②:【コーティング】刃先にコート膜厚がたまり、切れ味が劣化してしまう

     

    切断刃の刃先にコート膜厚がたまってしまい、切れ味が劣化してしまうことがございます。

     

    コーティングによって耐摩耗性や切粉の排出性などを向上させ、切れ味の良い工具を実現することができますが、刃先にコート膜厚がたまってしまうことで逆に切れ味を悪くしてしまう恐れがあります。

     

    この場合の対策方法としては、主に以下の2点がございます。

    ①コート厚を極力薄くする

    ②コーティング炉の置き方を変更する

     

    当社では上記にて刃先の改善をした実績もあります。

     

    また、当社では、コート膜厚分を考慮して工具製造しております。

    切断刃でのコーティングについて、コーティングの膜厚はコーティングの種類により変動がありますが、薄いものだと1~2μm、厚膜だと3~4μmまで可能です。

     

    >>上記に関するよくある質問と回答はこちら【切断刃:Q2】

     

    >>当社の対応可能なコーティング種類はこちら

     

     

    当社の切断刃 工具開発事例をご紹介!

    当社の切断刃 工具開発事例をご紹介します。

    i.食品用パッケージビニールの切断刃

    食品用パッケージビニールの切断刃

    こちらは、ハサミのように上刃と下刃を重ねてパッケージに使用されるビニールシートを切断する刃物です。

     

    上刃と下刃の僅かな嚙み合わせの誤差で切れ残りが発生するため、ミクロン単位の平坦度の研削と、1枚1枚の擦り合わせで、噛み合わせを調整しています。

     

    >>詳しくはコチラ

    ⅱ.超硬製 銅線切断用超音波カッター

    超硬カッター

    こちらは、半導体基板、銅線の切断に用いられる超音波カッターです。

     

    カッター刃の厚みが薄く(0.7㎜)、チッピングしやすいため、顧客指定の面粗さよりも細かく研磨することで強度改善しチッピングを抑制しています。

     

    >>詳しくはコチラ

    ⅲ.ハイス鋼 コード切断カッター(内刃)

    切断カッター

    こちらは、銅のコード切断に用いられるハイス鋼工具です。

    生産性の高い工法で製作したコード切断用の工具です。工具内側のRを固定に利用して、シャープエッジな切り口となっております。

    また、取付け穴と刃先位置は±0.0025です。

     

    >>詳しくはコチラ

    ⅳ.超硬製 チューブ切断カッター

    切断カッター

    こちらは、ビニル製のチューブ切断に用いられるカッターです。

    鋭利なシャープエッジの切れ味を実現するために、刃先を#2000にて鏡面仕上げをしております。
    また、チッピング検査を全数マイクロスコープで実施し、2μm以下のチッピングを保証します。

     

    >>詳しくはコチラ

    >>もっと切断刃 工具開発事例を見るにはこちら

     

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    今回は、切断刃についてご紹介しました。

     

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