ロウ付バイトのメリットとは?
ロウ付バイトとは、刃先とシャンクがロウ付によって一体化された切削工具で、付け刃バイトとも呼ばれます。
ロウ付バイトは、スローアウェイバイトと比較されることが多くなっています。これは、スローアウェイバイトの普及率が高まっていることにあわせて、ロウ付バイトの製造が可能な工具メーカーが少なくなっていることも要因の1つです。
しかしロウ付バイトはスローアウェイバイトと異なる特徴を持ち合わせているため、用途によってスローアウェイバイトと使い分ける必要があり、ロウ付バイトのニーズはなくならないと考えています。
ここでは、そんなロウ付バイト製造メーカーの株式会社ビットだからこそ言える、ロウ付バイトの特徴やメリットから、当社のロウ付バイトが選ばれる理由、実際に当社が製造したロウ付バイトの工具事例まで、まとめてご紹介いたします。
ロウ付とは?
ロウ付とは、結合させたい金属同士の間にろうと呼ばれる合金を溶かして結合する金属加工の一種です。ロウ付は高度な技術を要するため、対応可能な企業も減少傾向にあります。しかし、接合素材によってはロウ付加工が適しているケースがあることも事実です。
ロウ付加工の主な特徴は下記の3点です。
①異種金属同士の接合ができる
②接合強度が強い
③再度のロウ付や取り外しが可能
ロウ付バイトとは?
ロウ付バイトとは、刃先とシャンクがロウ付によって一体化された切削工具です。付け刃バイトとも呼ばれます。
ロウ付バイトは旋盤加工用で用いられる切削工具のため、刃の形状は概ね下記の通りになります。
- 真剣バイト
- 片刃バイト
- 横剣バイト
- 剣バイト
- 突切りバイト
- ヘールバイト
- 穴ぐりバイト
- 穴仕上げバイト
- ねじ切りバイト
- 平削り盤用バイト
ただしロウ付バイトは、シャンクを前方に、刃を手前に置いた際に、刃が右にあるものを右勝手、左にあるものを左勝手となります。工作機械や加工方向によってバイトの取り付け方向や勝手が変化するため、注意が必要です。(通常は右勝手が多くなります。)
ロウ付バイトのメリットとは?
ロウ付バイトの他のバイトの種類としては、完成バイトやスローアウェイバイトがあげられます。完成バイトは、むくバイトとも呼ばれますが、刃先とシャンクが同一素材で一体化している切削工具です。スローアウェイバイトは、専用のホルダーにチップをクランプして使用する切削工具です。
よくロウ付バイトと比較されるのがスローアウェイバイトのため、ここではロウ付バイトとスローアウェイバイトの比較をしていきたいと思います。
スローアウェイバイトのメリットは、なんといってもコストメリットです。スローアウェイチップを使用することで、チップのみの購入・交換で良いため、低コストかつチップも同一のクオリティを維持できることに繋がります。
しかしスローアウェイバイトは、その取り付け方法ゆえに強度に劣るため、重切削には向いていません。またチップ単体の値段は高くなる傾向にあります。そのためスローアウェイバイトは、微細加工や仕上げ加工の用途で主に用いられます。
一方、ロウ付バイトのメリットは、下記のとおりです。
- 工具が頑丈で、重切削に適している
- チッピングしにくい
- 再研磨することで繰り返し使用可能
- スローアウェイバイトよりも安価
まずロウ付バイトは、ロウ付による接合のため、工具自体が頑丈となり、重切削に向いている点が挙げられます。そのため、1度の切削量が多くてもチッピングしにくく、粗加工で使用されることが多くなっています。
またロウ付バイトは、チップは基本的に使い捨てとなってしまういスローアウェイバイトに対して、再研磨を行うことで繰り返し使用することができます。さらに工具自体もスローアウェイバイトより安価になる傾向が多いため、このランニングコストを踏まえた結果でロウ付バイトに軍配が上がるケースも多くなります。
ロウ付バイトのデメリットとしては、再研磨に手間がかかってしまうことがあげられます。そのため、チップの交換だけでよいスローアウェイバイトと比較すると、取り換え時間や手間については劣ってしまいます。
またロウ付バイトの時流的なデメリットとして、製造可能な工具メーカーが少なくなっていることもあげられます。
ビットのロウ付バイトが選ばれる理由とは?
そもそもロウ付バイトに関しては、近年スローアウェイバイトが普及してきているため、使用率が減少傾向にあります。
またロウ付設備がない部品加工メーカーも多く、協力企業にロウ付依頼をしていたものの、
- 協力企業がロウ付事業から撤退してしまった
- グラインダーで刃先成形をしていた職人の方が退職されてしまった
- 協力企業が倒産してしまった
等の理由で、ロウ付バイトの依頼先に困っているというお客様も増えてきていると感じています。
そんな中で当社にたどり着いてご相談いただくケースが多くなっており、数多くのリピートでのご注文や、新規でのロウ付バイトの開発も一緒に行ったりしています。
当社のロウ付バイトが選ばれる理由、それはロウ付精度とロウ付後の仕上げ精度、そしてロウ付から仕上げまでの一貫体制にあります。
当社のロウ付は、高周波ロウ付装置を用いた高精度ロウ付です。一般的なロウ付は熟練工によるガスバーナーでのロウ付ですが、当社ではだれでもスイッチ一つで高精度なロウ付ができる環境を構築しております。
またロウ付後の仕上げ工程として、当社では平面研削やプロファイル研削を行うことで、お客様の求める形状に限りなく近づけております。この研削加工の高度な技術力が、当社の強みとするところです。
さらに、ロウ付から仕上げの研削加工までを一気通貫で対応可能な点も、当社の大きな特徴です。当社にご相談いただく前のお客様の多くは、ロウ付工程のみを協力企業に依頼していたということがほとんどです。しかし株式会社ビットでは、ロウ付から仕上げ加工まで、さらには表面処理や、前工程の工具設計まで、すべて一貫して対応できます。工具からお客様のものづくりをサポートする企業として、これまで多くのお困りごとを解決してまいりました。
この実績に裏打ちされた信頼と安心感によって、当社は多くのお客様よりロウ付バイトの製造依頼をいただいております。
当社のロウ付設備:高周波ロウ付装置 YHM-2266
特殊超硬バイト 開発ラボでは、こちらの高周波ロウ付装置 YHM-2266を用いて、特殊切削工具などのロウ付けを行っております。
一般的なロウ付けは、熟練工によるガスバーナーのロウ付けとなりますが、その技術は非常にレベルが高く、精度が高いロウ付けはさらに難しくなります。 一方で当社の高周波ロウ付け機は、誰でもスイッチ1つで高精度なロウ付けができるようになります。
「高周波ロウ付装置 YHM-2266」を動画でご紹介!
こちらでは、動画でわかりやすくロウ付について解説しております。
当社のロウ付バイトの工具事例をご紹介!
当社のロウ付バイトの工具事例を一部ご紹介します。
i.2段ブレーカー付き超硬ロウ付外径総型バイト | こちらは、K10製の超硬ロウ付け外径総型バイトです。 写真のように、お客様の製品形状に合わせ(総型)、非常に特殊な形状をしております。
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ⅱ.超硬ロウ付フルR溝入れバイト | こちらは、超硬製のロウ付けフルR溝入れバイトです。正確な溝入れを行うため、高精度なR形状を先端に付加し、良好な切削を可能にしています。また、傷んだ刃先は再研磨が可能な長寿命設計です。
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ⅲ.自動盤用 精密ロウ付 突切りバイト | こちらは、極小径なエレクトロニクス部品を突っ切る、自動盤専用工具です。超硬部の面粗度をRa0.015以下に仕上げた精密なロウ付バイトです。微小なチッピングも許されないため、WC粒度0.7μm以下の超超微粒子合金を採用しております。
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ⅳ.サーメットロウ付面取りバイト | こちらは、機械部品加工用の刃物で、面取りに特化したバイトです。材料にサーメットを使用しており、耐摩耗性に優れ、金属が付着しにくい特性を持っています。また、すくい面の角度が強く、切れ味を重視した刃物です。
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ⅳ.ハイスロウ付総型スロッターバイト | こちらは、外径がΦの特殊スプライン溝を仕上げる専用工具です。刃先の材質は、靭性を保ちながら硬度も上げられる粉末ハイスを採用しております。また当社では、低温ロウ付技術を確立しておりますので、ハイス硬度低下を抑えることができ、ロウ付研磨後も高い硬度を維持できる工具の製造が可能となっております。
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特殊工具の開発・製造のことなら、特殊超硬バイト 開発ラボまで!
特殊超硬バイト 開発ラボでは、高品質工具、複雑形状、長寿命な「きれもの」づくり、そして「まごころ」をこめて1つ1つ丁寧に特殊バイトを製造・開発してきました。創業60年の歴史と経験から得られる実績と高い技術力を有しています。
ロウ付バイト・総型バイト、成型バイト・溝入れ丸バイト、スロッターバイト、ヘール加工バイト、スローアウェイチップ、成型チップ・総型チップ、特殊スローアウェイチップ、ハイススローアウェイチップ、カッター刃・切断刃、粉砕刃・固定刃・回転刃、パンチ・ダイス・スリッター、ロール・センタレスブレード、コイリングピン・ワイヤー線ガイド、接点・電極・耐磨耗部品 など幅広く対応、記載がないご依頼も柔軟に対応いたします。
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